Qをクリックして回答をお読み下さい。 閉じる場合も同様です。 向 博也(手稲ネフロクリニック)
腎不全とは何かを理解するために、まず腎臓とその働きを知りましょう(図1)。 山村 剛(北海道医療センター)
腎臓の働きが低下してその本来の働きが十分できなくなる状態が腎不全ですが、腎臓は非常に頑張る臓器ですので、そういう状態になっても身体症状はなかなか表面に出てきません。ところが、非常に腎機能が低下して、20歳代の時の働きの1割を切るあたりになると、様々な自覚症状が出てきます。これを尿毒症といいます。尿毒症が出現してくると、①悪心、嘔吐、食欲不振などの消化器症状や、②重度の高血圧、息切れ、心不全などの循環器症状や、③呼吸困難などの呼吸器症状の他に浮腫や貧血や意識障害などを呈し、非常に重篤な状態になり、このままの状態が持続すると死に至ります。腎不全は急に発症した場合(急性腎不全)と長い経過で徐々にそうなった場合(慢性腎不全)では、病態が異なりますが、どちらにも共通していることは、そのままの状態では生命に危険が生じることです。そのため、尿毒症を呈するような腎不全では、なんらかの手段でその働きを補わなくてはいけません。そのひとつが透析療法です。 田中希尚(札幌医大 第2内科)
血液透析とは、腎臓の代わりになる人工臓器による治療(腎代替療法)の一種で、患者様には定期的(通常、週2-3回、1回3-4時間、長時間透析の場合は4時間以上)に透析治療が可能な施設に通院していただきます。透析施設には、透析を行うための機械(透析機)が設置されており、患者様は透析機を利用して血液に溜まった老廃物をきれいにします(血液浄化)。実際の方法は、まず体に流れる血液の一部を透析機のポンプによって体の外に循環(体外循環)させます。体外循環させた血液は、透析機によって透析専用の治療液(透析液)が流されている透析膜(ダイアライザー)の中に通されます。透析膜に通された血液は、浄化された状態(老廃物が抜けた状態)になりますので、再び透析機のポンプによって体内に戻されます。血液透析では血液の老廃物を除去するだけではなく、血液を透析膜に通すことによって体内のナトリウムやカリウムなどのミネラル(電解質)の調節を行います。また、透析中に適切な体重(ドライウエイト)まで体内の水分を除去することで、体内水分量の調節も同時に行います。この老廃物の除去、電解質の調節、体内水分量の調節の作業を繰り返すことで、それぞれの人にとって適切な健康状態を維持します。全身状態の管理のため、胸部レントゲン撮影、採血、心電図などの検査も定期的に行います。 血液透析を受けるためには、血液の体外循環のためにシャント手術が必要になります。シャント手術は、前腕(一般的には利き腕の反対側)の一本の動脈と皮静脈を直接つなぐ手術で、その手術により静脈に十分な血液が流れる状態になります。十分な血液が流れている静脈側(シャント)に透析専用針を通常2本刺すことにより、血液透析が可能となります。 角田政隆(H・N・メディックさっぽろ東)
透析療法には、血液透析と腹膜透析の2種類があります。ダイアライザーを用いて人工的な膜を介して透析を行う血液透析とは異なり、腹膜透析は文字通り、人間の腹膜を介して透析液との浸透圧差を用いて老廃物や尿素等を透析液側に移動し、排出するという治療法です。腹膜とは、胃や肝臓といった腹部の臓器を覆っている薄い半透明の膜のことです。その面積は成人で20,000cm2以上あり、毛細血管が表面に網の目のように分布しています。 千葉 尚市(腎友会岩見沢クリニック)
透析方法は腹膜透析と血液透析がありますが、自分の生活スタイルや性格などに合わせて、自分にあった透析方法を選ぶことが一番大切です。
腹膜透析の一番の特徴は、自宅での治療を希望する方で、自分や家族が治療手技が出来るかたに向いていることです。一方で、血液透析は通院が可能で治療中ベットで安静さえ保つことができれば可能な治療です。治療の選択には腹膜透析と血液透析の特徴を知ることが大切ですので、以下にそれぞれの特徴を簡単に挙げていきます。
柴崎 跡也(北海道大学 第2内科)
腎臓の働きが徐々に悪くなってくると尿として排泄される老廃物や不要な水分が体にたまり、尿毒症症状や検査値異常が出てきます。症状としては、頭痛、吐き気、不眠、かゆみ、いらいら、むくみなどが出てきます。検査値異常としては、カリウムが上昇したり、貧血を認めたりします。そのための治療は食事療法、薬物療法などがありますが、治療を行なっても検査値異常や症状が改善しなくなってきます。そのような状態になると透析療法が必要となります。
ひとことで言ってしまうと「腎臓が自分の体を支えることができなくなったとき」が透析を必要とする時です。透析が必要となるときは、個人差が結構あります。
以下に具体的な状況を並べてみました。 石田貴之(市立札幌病院 腎臓内科)
腎代替療法とは… 橋本整司、木村朋子(NTT東日本病院 腎臓内科)
1ヶ月の透析治療の医療費は、患者一人につき外来血液透析では約40万円必要といわれています。このように透析治療の医療費は高額ですが、患者の経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立しています。
透析患者が利用する公的助成は3つあります。自分が該当するのか確かめる必要があります。その3つとは「高額療養費制度」「障害者医療助成制度」「自立支援医療制度」です。 佐藤 恵(腎臓内科めぐみクリニック)
普通の生活、という定義が難しいですが、いくつかの点に気を付けて生活することで仕事をしながら、家事をしながらの日常生活は可能です。
まず慢性腎不全の治療法として、主に血液透析と腹膜透析治療があります。健康な腎臓は、一日24時間、一週間では168時間ずっと働き続け、私たちの体の中の老廃物をろ過して排泄したり、必要なホルモンを分泌したりしてくれています。透析治療は、その一部の機能を代替する治療です。標準的な血液透析は週3回で、一回4~5時間、一週間で12~15時間になりますので、時間的にみても健康な腎臓の10%に満たない治療時間と理解できます。また、血液透析でカバーできるのは、老廃物の排泄や余剰な水分の除去が主ですので、ほかの機能については飲み薬や注射で対応していくことが必要ですし、毎日の食生活では塩分や水分などが過剰にならないように注意が必要になります。 佐々木直美(H・N・メディック)
「1日3食しっかり食べる」という食事への基本的な考え方は変わりませんが、内容は少し変わります。
透析に入ったからといって、食事が出来ないわけではありませんし、回数を減らす必要もありません。しかし、やはり透析に入ると、カロリーを十分に摂取しなくてはならない一方で、塩分やたんぱく質、カリウムやリン、水分を制限した食事療法を行わなければなりません。というのも、本来24時間フル稼働している腎臓の代わりを、週3回の間欠的な透析治療で補わなければならないからです。透析と透析の間で、いかに身体に負担をかけないような食事を摂るか、元気で長く透析を続けていくためにはとても重要です。なんとなくでも食事療法の必要性が理解できますよね。
では、どう内容が変わるのかポイントをあげます。 滝沢英毅(手稲渓仁会病院 腎臓内科)
【初級編】;透析患者さんの食事以外の水分摂取量は1日尿量+500ml 中沢大悟(北海道大学 第2内科)
リンは骨や筋肉を作り、さらに細胞レベルの伝達に重要な役割を果たすことから、生体にとっては必須のミネラルです。腎臓はこのリンを過不足ないように各ホルモン(ビタミンDや副甲状腺ホルモン)の指令を受けて排泄を調整していますが、腎臓が悪くなるとこのリンを排泄する事ができなくなります。リンが溜まると、血管や内臓の石灰化につながります。特に血管では動脈硬化を進行させ心筋梗塞等を起こしやすくするため、リンが高い方は寿命も短くなると言われておりリンの管理は大事です。そこでリンを適正範囲(値としては3.5~5.5 mg/dL)に保つには、次の3つが重要となります。 今 裕史(KKR札幌医療センター 外科)
シャントの合併症で最も多く見られるが狭窄と閉塞です。狭窄や閉塞の原因としては 安田卓二(さっぽろ内科腎臓内科クリニック)
腎臓は、水分や老廃物をおしっことして体の外に排泄する働き以外にもいろいろな働きをしています。その一つに赤血球を作る働きがあります。赤血球は腎臓が分泌するホルモン(エリスロポイエチンと言われます)により刺激され作られます。 |
|||||||||||||||