昨今の道内透析実施医療機関でのCOVID-19感染発生時の現状と対策について
~各透析実施施設への現状周知と感染対策についてのお願い~
2020年11月20日
北海道透析医会会長 久木田和丘
札幌市透析医会会長 戸澤修平
北海道透析療法学会会長 前野七門
北海道が冬季を迎え、感染者数が増加の一途を辿っています。北海道独自の警戒ステージは札幌市に限定して「4」となりましたが、感染拡大は収束に向かってはいません。感染者受け入れ施設の病床数が逼迫してきており、通常の医療にも支障がでてきています。
透析患者の感染者はハイリスク患者として法により入院対象となりますが、COVID-19専用病棟での透析が想定されており、札幌市の場合は最大30名程度が限度です。それも非透析患者で透析可能な病床も使用されている現状では、最大数に満たない段階で入院治療ができない可能性があります。日本では70歳以上の透析感染者の死亡率は20%を超えており、由々しき事態です。
透析医療を実施している施設でのCOVID-19陽性となった患者やスタッフが散発的に発生しており、いつ施設の透析医療が破綻してもおかしくない状況となっています。クラスターなど発生した場合は、その施設への人的支援を行う枠組みや、感染した患者を集約的に入院加療と維持透析を担う医療機関を立ち上げるべく関係各所と協議中ですが、見通しは立っていません。患者発生時には保健所の指導に従って行動していただくことになりますが、
各透析実施医療機関には以下のことについてご協力・ご検討をいただけますと幸いです。
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患者およびスタッフの感染対策の徹底(日本透析医学会などで通知されています)
- 陽性者あるいは濃厚接触者が発生した場合に備え、事前に透析時間や曜日の変更に協力いただく可能性があることを患者様に説明する。また火木土の午後など時間的隔離が困難な場合は他の施設に一時的に透析依頼することも検討しておく
- 2の場合に備え予め候補者選定や依頼する可能性のある医療機関との事前打ち合わせ
- 積極的加療を希望されない(DNARなど)患者の情報のまとめ(受け入れ先選定に必要)
- COVID-19治療や観察終了した自施設の透析患者を再度受け入れ
- 治療は終了も外来通院が困難となった患者の転院・療養先のご協力
(吉田英昭)
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